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「宇宙ステイしよん」-5

レスキュー隊が来るなんて、

有毒ガスを吸って意識が朦朧としていたための、

幻覚ではないかとさえ思ったのだが、

すぐに運ばれた病室のベッドの上で意識がはっきりとしてきたから、

ここが宇宙でない事が分かった。

病室の窓から、広い庭に沢山の木々が見え、

向いのビルも見えるのに地上でないはずがない。

ずっと宇宙船に乗り込んだと思っていたのに、そうではなかったようだ。

自分がだまされていた事の悲しみ以上に、

日本初となる日本製有人宇宙船の乗組員である自分が、ここにいるという事は、

未だに日本製の宇宙船は有人飛行に成功していないという事になる、

その事が悲しかった。

暫くして上司と、宇宙基地「宇宙ステイしよん渚」の開発責任者が訪れてきて、

もう一度船内に戻り、何事もなかったように残りの日数を過ごしてほしいと言われた。

実際に「宇宙ステイしよん渚」は宇宙に存在し、

私にそっくりに作られたロボットが滞在していて、

私の真似をしているそうだ。

ならば、私が宇宙に行っても良いはずなのになぜだと問いただすと、

その答えは。

「日本では、人命に対して誰も責任を取りたがらないからですよ」

と開発責任者が言う。

「誰も責任を取りたくないですから、

そうなると誰も責任を取らなくて良い方法しか無いわけだよ」

と上司が後を継いで話す。

「もし、失敗したとしても人が死ななければ、だいたい許される。

ならば金をかけてでも人命第一で考えなければならない。

考えた結果、

人間が宇宙に実際に行ったと誰もが信じる状態を作りさえすればよいという事になった。

そして、このような状況になっている」

バカバカしくなってきたのだが、

実際自分が生きているのは、宇宙に行かなかったからなのだから、

ありがたいと思うべきなのだろうか。

そして、ふと思う。

もしかして有人宇宙飛行というのは、過去全てこんな感じだったのではないかと、

アポロ11号による月面着陸はなかったという話があるが、

それが真実ならば、アメリカを真似た日本の宇宙開発もそういうことなのだろうか。

いずれにせよバカバカしくなった私は、

どうでも良いと思い始めた。

-END-

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No title

1000年後、
人類は宇宙に向けてしか、
存在はなくなるのですから、
是非、ストーリーを続けて下さい。
100年以内には、
火星に人類は住んでいると思います。
その火星移住生活もお願いします。

我々の、ひ孫の為に。
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