fc2ブログ

「チェックする」-3

アイデアを思いついたK氏は、携帯電話会社やIT企業にアイデアを売り込んでみた。

結果は、GPSにしても位置特定の誤差などの問題があり、

さらに他人の携帯にメールなどを送るのも、法的な問題があり不可能と言われ、

ほぼ門前払い状態だった。

しかし、ある携帯電話機メーカーが面白そうだといって、話にのってくれた。

そのメーカーの技術者は、メールなど電話回線を使うのは無理がある。

しかし、携帯電話同士の直接通信であれば出来そうだと言ってくれた。

つまり、電話回線ではなくトランシーバーのように携帯電話同士で直接通信するならば、

助けを求める携帯に近い場所にある携帯にしか電波が届かないから、

ちょうど良いかもしれないという考えだった。

人の多い場所なら周囲10メートル程度、

人の少ない場所なら周囲100メートル程度に設定し、救助信号を送信する。

受信する側の携帯では、電波の発信源の方向と救助信号の種類により、

救助希望者の場所と救助方法が分かる。

同じ機能を持つ携帯が普及しなければ役に立たないが、

普及すれば今までの防犯ブザーなど比べ物にならないくらい有効なものになると考えた。

最初のうちこそなかなか普及せず、こんなもの役に立たないと思われたが、

機器はそのままで、ソフトだけの変更で使える機種が多かったため、

案外普及し始めると早かった。

10年後、ほぼ全ての携帯にこの機能が追加され、

殆ど全ての日本人が携帯電話を携帯する時代になった。

実際に携帯の救助要請で助けられる事例も多数報告されて、

非常に役に立つと考えられた。

ところが、助け合いが広まるどころか、

携帯の救助要請がないと助けなくて良い、

助けないほうが良いという考え方が広まって、

表向きは良い世の中なのに、

内実は殺伐とした世の中になってしまった。

突然倒れて意識不明になったら、突然強盗に襲われたら、

携帯で救助要請などしていられないから、

その様なときのために半自動で救助要請を発信するシステムも開発され普及したから、

救助要請が出せなくて助けられなかったと言う事例は年々減少していた。

しかし、だからこそ、

助けを求められていないのに助けるのはルール違反という風潮が広まった。

それは、普通に自然に助け合うと言う行動力を、人から奪い去っていた。

表向きは、助け合う良い社会なのに。

-END-

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

フリーエリア
カレンダー
01 | 2024/02 | 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 - -
リンク
最新記事
カテゴリ
最新コメント
検索フォーム
QRコード
QRコード