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「チェンジ」-1

姉が亡くなったのは一年前の今日。

だけど、みんなは妹の私が亡くなったと思い、悲しんでいる。

交通事故だった、車に撥ね飛ばされた体は、妹の私のものだった。

けれども、その中身の心は、私の姉のものだ。

姉は私より5分ほど早く生まれたから姉になった。

いろいろな才能の重要なものは私が取り、けれどとてもすごい超能力は姉が取った。

いや、姉は超能力を持ってしまったから、他の才能を開花できなかったのだろう。

小さい時から姉は人見知りで引っ込み思案な性格で、なかなか人と打ち解けられなかった。

一方の私は、誰彼無しに話しかけ、何にでも興味を持ち、いろいろな事にチャレンジする、

そんな冒険心や好奇心が旺盛で、明るい性格だったから、

いろいろな才能を見出す事が出来た。

赤ん坊の頃は確かに双子だったけれど、

性格の違いが成長と共に大きくなると、見た目にも違いが生まれ、

初対面の人は、活発で明るい妹の私を、しっかり者の姉だと思い、

引っ込み思案な姉を、年下の妹と思うようになった。

姉の持つ超能力は、短い時間だけれど、他人の心の中に入り込む能力。

姉は小さい頃からこの能力で、人の心の中を覗き見していたらしい。

そして、自分への悪意も覗き見てしまい、

他人の心の恐ろしさを感じ取ってしまった姉は、

引っ込み思案の暗い性格になってしまったらしい。

姉と言うか、法律上も物理的にも亡くなったのは妹だから、妹の私のだけれど、

今日は亡くなって1年だから、一周忌の法要と言うことになる。

一年前、事故後暫らくはショックで眠り続けていて、葬儀には出席していなかったので、

自分の葬儀に自分が出るという違和感を味わう事にはならなかった。

でも、今日の一周忌の法要では、

妹の私自身の法要に姉の体で妹の心で出席すると言うややこしい事になっている。

1年前の交通事故の時、姉と私は一緒に買い物に出かけたのだけれど、

引っ込み思案でのろまな姉に何時もイライラしていた私は、

この日も一緒に出かけていながら、一人で先に行ってしまおうとした。

大きな交差点で信号が赤から青に変わり掛けていて、

もうすぐ青になるから大丈夫と思った私は、

姉を置いて一人でサッと道路に飛び出し、

次の瞬間信号無視のトラックに追突されてしまった。

追突されて意識を失う前に、姉の声が聞こえて、暫らく記憶が途切れて、

次の瞬間私は横断歩道上で、車に撥ね飛ばされた妹の側に座り込み、

私の姿を見つめていた。

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