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「散歩の神様Ⅳ」-5

「姉さん、あなたのお母さんから、

あなたがもう少し大きくなるまでは秘密にしておいてと言われていたから、

話さなかったけれど、あなたのお父さんは、3年前に、

あなたのお母さんがなくなる少し前に亡くなっていたの」

突然の話しに、少し頭の中が混乱する。

確か父は行方不明だったはず。

どういうことだろう。

私が何も反応できずにいると叔母さんは、もう一度ゆっくりと説明を始めた。

「姉さんが亡くなる少し前、確か一月くらい前だったと思うけれど、

あなたのお父さんが、交通事故で亡くなったという知らせが有ったの。

でも、病気で入院中の姉さんは、たぶん自分の病気の事を分かっていたんでしょうね、

父がなくなって直ぐに母が亡くなったりしたら、

あなたのショックは強すぎるだろうって、

それで、あなたには内緒にすると決めたの」

ここまで話を聞いて、やっと少し意味が分かりかけてきた。

「あなたももう中学3年生で、将来の進路を考えなくちゃいけない歳だから、

事実を知っていて貰わないといけないと思うから、」

そこまで話して書類を封筒から取り出して、私に見せる。

「これは、あなたのお父さんの入っていた保険の書類と賠償金の書類で、

すでに手続きは終わっていて、あなた名義の定期預金になっているわ。

それから、こちらの書類が、姉さんが相続したお父さんからの遺産に関する書類で、

離婚の慰謝料とか未払いだったものが事故の賠償金とかから支払われたみたい。

姉さんは、私や私の子供にも財産を残してくれた」

書類を一通り眺めるが、涙が邪魔をしてよく読めない。

「金額を見ても理解できないかもしれないけれど、

あなたが大学を卒業するのに必要な金額は軽く超えているし、

たぶん数年浪人して、都会の学費の高めな大学に行っても大丈夫よ」

そこまで話を聞いても、いまいちぴんと来ない。

確かに、将来の進学のこと、そのための学費がずっと心配で、

そのために父を探そうとしていたのだけれど、

今の話では学費の心配は要らないらしいけれど、

でも、私はやはり父に会いたい。

そう思って、叔母さんに

「そんなことより、父さんに会いたい」と言ってしまった。

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