fc2ブログ

「何か」-2

千葉県内に入る事だけを考えれば、

高速を使うより、ここで降りて一般道を走った方が早いはずだ。

警視庁の管轄内から出る事が出来れば、少しは安心できる。

高速を降りて直ぐの信号を左折して、千葉方面に向う。

都県境の江戸川の長い橋を渡るともう千葉県内だ。

ハンドルを握る手に力がこもる。

橋の向こう岸に、赤いパトライトの明滅がいくつも見える、なんだろう。

何かの検問のようだ。

対象の車はなんだろう。

飲酒なのか、スピード違反なのか、或はその他の犯罪か。

とにかく何の問題も無いふりをして、極普通に見えるように通り過ぎるしかない。

シートベルトを確かめ、前の車との車間距離を適度に取り、

メーターを確認し、神経を集中しながらも肩の力を抜いて、

なんでも無いふりをする。

橋の途中では右折も左折も出来はしないのだから。

間もなく橋の降り口に差し掛かる。

路肩にパトカーが数台停車しているのが見える。

そして、行き先を赤いライトを手にした警官が塞ぎ、左端に誘導される。

慌てるなと自分に言い聞かせる。

誘導する警官の横を通り、指示に従って左の路肩に素直に停車する。

こんな状況で抵抗しても、渋滞した都会の道路では何処にも逃げられない。

勿論バイクとかであれば、細い隙間を縫って逃走を続けられるかもしれないが、

この車で私の運転では逃げようとするだけ無駄というものだ。

それに、下手にじたばたして疑われるより、

今は素直に従うべきだろう。

何しろ、ただの飲酒検問かもしれないのだから。

警察官の窓を開けろというジェスチャーらしき動きに、

素直に応じて窓を開ける。

「済みません、都内でちょっとした事件がありまして、逃走車両の検問を行なっています」

警官はそう言いながら、後部座席の様子を伺う。

別の警官が懐中電灯で車内を照らし、荷物を調べている。

自分に落ち着けと、まだ自分の事件と決まったわけではないのだから、

第一こんなに早く検問が設けられる訳が無いのだから、

慌てることは無いのだと言い聞かせる。

そして、「どんな事件ですか」となんでもないふりで問いかけてみる。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

フリーエリア
カレンダー
03 | 2024/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
リンク
最新記事
カテゴリ
最新コメント
検索フォーム
QRコード
QRコード