fc2ブログ

「散歩の神様Ⅴ」-6

費用が分からないままでサインするのは、

不安な人とそうで無い人が居るが、

これも相手の出方を見るための手である。

費用が分からない契約書に簡単にサインする人は、

余程金持ちか、警戒心の無い人間だ。

ミエコは、かなりサインを渋った。

工事を行なわないと危険だと脅され、

シロアリに食われて補修のしようが無い状態になったら、

もっと多額の費用をかけて立て替えなければならないとか、

震災にあえば崩れて命が無いとかと脅しをかけられ、

半分以上洗脳とか催眠状態とかになり、契約書にサインさせられた。

無料相談会の会場を出て、自宅に向って歩いている途中で、

徐々に後悔の念が湧いてくる。

とぼとぼと歩く足取りが徐徐に重くなる。

何とか契約を解除したいと思い始め、これからどうなるのだろうと不安が増してくる。

その時、目の前にすーっと手紙が飛んできた。

目の前に落ちた手紙を何の躊躇も無く拾う。

宛名を目にして、それが神社宛であり、

すぐ近くなのが分かり、ついでに神頼みと思ったミエコは、

その神社へと向った。

手紙を賽銭箱の奥の供物台に載せて、

お賽銭にもっていた小銭を適当に手に取って、賽銭箱に投げ込む。

一応の作法にのっとって、2礼2拍手して願う。

「今日リフォーム会社と結んだ契約、騙されていませんように」

そして、一礼して振り向いたら、神主らしき老人が立っていた。

老人には、相対した者の思いや抱える問題の全てがお見通しだった。

「リフォーム会社の事は、忘れる事じゃ。忘れ去れば何の問題も無い」

老人はそう言うと、すーっと姿を消した。

ミエコは、その老人が神なのだろうと思い、再び振り向いて2礼し2拍手して

「ありがとう御座います」と一礼して再度振り向いて、

誰も居ない事を確認しながら恐る恐る帰宅の途に付いた。



散歩の神様は、自分の神社の境内で、満足げにたたずんでいた。

役に立てる悩みを入手できた。

上手く解決すれば良い評判が広まって、信者が集まるに違いないとほくそえむ。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

フリーエリア
カレンダー
04 | 2024/05 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
リンク
最新記事
カテゴリ
最新コメント
検索フォーム
QRコード
QRコード