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「散歩の神様Ⅵ」-1 

町工場の、中小企業の社長が神社を訪れたのは昨日の事だった。

社長は深刻そうに深々と頭を下げて、願い事をつぶやいた。

「せっかく新商品の開発に成功したのに販路が見つかりません。

このままでは開発に投じた資金を返済できずに倒産してしまいます。

なにとぞお力をお貸し下さい」

頭を上げて、振り返るとそこに散歩の神様は立っていた。

「手紙を書いてきなさい、手紙に助けて欲しい内容を書いて持ってきなさい」

そう言うと神様は、すーっと姿を消した。

社長は目の錯覚かと思ったが、錯覚が話しかけるはずが無いと思い、

辺りを見回すが、どこかに隠れた様子も無い。

自分の神経を確かなものと信じるならば、

今の人物を人では無い何かと考えるしかない。

そして、その姿や話した内容からして、この社の神様と考えるしかないと結論付けた。

神様と信じるならば、言われた通りにするべきだ。

そして、今朝また社長はやって来た。

昨日あれからいろいろと文面を考えて、

なんども書き直した一枚の手紙を持って。

御社の前で御参りを済ませて、神様が姿を現すのを待ったが、

一向に姿を現してくれない。

朝の仕事が始まる前にと思ってやって来ていたので、あまり長居は出来ない。

仕方なく手紙を御社の前の供物台に載せて、

風で飛ばされないように小石を拾って載せて、

パンパンと2拍手し、深々と2礼して立ち去った。

その様子を見ていたのか散歩の神様は、

社長が立ち去ると直ぐに姿を現し、

手紙を手に取ると念を込めて空に飛ばせた。

手紙はすーと空に舞い上がり暫らく上空を漂ってから、

舞い降りるべき方向を探しているように、ぐるぐると飛び回った。

まるでつむじ風に乗っているかのように。

やがて一人の男を目指し上空からスルスルと舞い降りて、彼のおでこめがけて突進した。

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No title

またまた、『神様』登場ですね。
こんな神様のいる神社が近くにあったら、ちょっと行きたい・・
でも、また今回も神様のおかげだって思われなかったら、
かわいそうかな
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