fc2ブログ

「散歩の神様Ⅵ」-5

タダシの言葉に初老の男は一瞬考える様子だったが、

考えても自分では判断がつかないと結論付けて社長を呼ぶことにした。

「ああ、そうですか。少々お待ち下さい」そう言うと初老の男は、

タダシの目の前を通り過ぎて、右横の建物、

普通の民家の玄関のドアを開けて入り、

「社長、社長、お客さんですよ」と叫ぶ。

中から「ほーい」とちょっとお気楽な感じの返事があり、

中年の男が姿を現す。

初老の男と一緒に表に出てきて、タダシにどうもと頭を下げる。

タダシは、出てきた中年の男が社長らしく見えないので、

がっかりしたが、今更後には引けないし、

多少でも謝礼を受け取らないとここまで来たかいがないから、

一頑張りすることにした。

「あの、社長さんですか」

「ああ、はい、そうですが、何か」

社長は自分よりずいぶん年下に見える男を、胡散臭く思った。

更に、その男が胸ポケットから手紙を取り出すのを見て訝しく思い、

にらめつける感じになった。

目敏く社長の顔つきの変化を感じ取ったタダシは、

俄然やる気になり、どのようにして思う壺に陥れようかと、

一瞬にして考えた。

「実はこの手紙ですが、つい先ほど川沿いを歩いている時に、

空から舞い降りてきて、私の手の中に飛び込んできたのです」

手紙を広げ社長に指し示しながら続ける。

「手紙は読ませていただきました。

そして、何故この手紙が私のところに舞い込んだのか考えたのですが、

これも、神のお導きと言うやつではと思いまして、

話だけでもお聞きしようと思いましてやって来たのですよ」

と最後は如何にも助けに来ましたと言いたげに、上からな感じで話した。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

フリーエリア
カレンダー
01 | 2024/02 | 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 - -
リンク
最新記事
カテゴリ
最新コメント
検索フォーム
QRコード
QRコード