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「無重力機」-7

世界中の終末思想を持つ宗教団体が、悔い改めよと叫んで回り、

今すぐ我らの宗教に帰依しなさいと訴えている。

しかし、時間がなさ過ぎるから、

パニックが大きくなるまでの時間すらなかったから、

暴動が起こり大勢の人が犠牲になるような事もなかった。

24時間前、昔よく言われた

「もし後一日でこの世が終わるとしたら何をしますか」

と言う問いかけが、現実のものとなった。

世界は冷静だった。

今更慌てても仕方が無いとの諦めが支配していた。

そして、ニュースが流れたのはその数時間後だった。

彗星の軌道が突如変化し、地球には衝突しないと分かったのだ。

ところが、世界はそれでも冷静なままだった。

世界の7割の人は自分たちが神に祈ったおかげだと信じた。

残りの3割の人の9割以上が、初めから彗星の衝突はなかった事だと考えた。

そして、残りの人達は、科学的に理解しようとしたが、

ほぼ、観測できていなかった小惑星が軌道上に有ったのだという解釈で終わった。

極僅かの人が、宇宙人だとか、スーパーマンだとかを信じたようだ。

しかし、私以外の誰も私の無重力機が地球を救ったとは考えない。

そして、私の手元にはそれを証明できる何物も残されていなかった。

無重力機の開発に成功した私だけれど、

その理論は分かっていたつもりだけれど、

説明できるほどに理解は出来ていなかった。

その後数年間、無重力機の開発に再チャレンジするのだが、

まったく成功しないまま現在に至っている。

最近私も、あれは危機的状況に追い込まれた地球生命或は、

地球そのものが、私の脳に働きかけて作らせた、

地球を救う機械だったのではないかと思うようになった。

ただ、悔しいのは、地球を救った救世主なのに、

無重力機の開発で全財産を使い果たした私が、

今とても貧乏な事だ。

地球を救う為に無重力機を作らせた何者かが居るのであれば、

せめて私に宝くじでも当てさせてくれ、

お願いだから。

-END-

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