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「透明病」-5

「先生、息子の病気は悪化しているように思えますが、

本当に大丈夫なんでしょうか」

「以前も説明しましたように、息子さんは自意識過剰が原因で、

精神に障害を起こしています。

自意識過剰で自分が世の中に認められない事に耐えられない。

そこで、暗示療法として、

認められないのは病気のせいだと信じさせています。

今はまだ病院の外に出して誰かに声をかけられたりすると、

病気である事を疑って危険な状態になる可能性がありますので、

病室に閉じ込めておく必要があります。

これから病気の治療法が見つかった事を告げて、

自意識が適度な状態になるように調整して行きます。

大丈夫ですよ年内には退院できます」

        ★

彼の遺体が発見されたのは死後数十日経ってからの事だった。

なぜかその病室に彼が入院している事を医師も看護師も事務員も、

実の父親さえも忘れ去っていたと言う。

使用していないと思っていた病室に、

新しい患者を入れる為の準備で清掃員が入り、遺体が見つかった。

遺体が見つかってから、カルテなどの存在に気付き、

彼が入院していた事をやっと思い出したと言う。

当然、病院の責任者と医師は、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された。

彼の担当医の言い訳は、

「まさか本当に透明病になるなんて思ってもみなかった。

それに、症状が悪化すると、

患者の存在をみんなで忘れてしまうなんて考えてもみませんでした」

と言う訳のわからないものだ。

父親までもが口裏を合わせたように、

息子は透明病でしたなどと言いはっている。

精神障害の息子が邪魔だった父親までぐるになった犯行だろうか。

だとしたら罪状を殺人罪に変える必要がある。

しかし、理由があるとしても実の息子が餓死するまで閉じ込めるなんて、

なんて酷い父親だろう。

それに協力した医師も脳に異常をきたしているとしか思えない。

-END-

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