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「ゲームのマ王」-13

「新商品のアイデアか、良い案がまとまったら提案書で提出してくれ」

部長はそういうと僕の後ろから立ち去った。

振り向く暇さえなかった。

でも、嬉しかった。

夕方近くなって1つの商品案がまとまりかけていた。

午後五時を過ぎて、今日は現場の残業がないから、

事務室の人達も帰り支度を始めている人がいる。

僕は、少し残業してまとまりつつあるアイデアを

提案書にまとめるつもりで仕事を続けていた。

午後5時10分、少し仕事の手を休めて、

CADのモニターに窓を開いて昨日のゲームサイトにアクセスしてみた。

気が付くと、彼が僕の後ろに立っていた。

「それが夢だったのか、成功するといいね」彼はそう言って僕の肩に手を置いた。

「でもまだマ王の私を倒していないから、ゲームは終われないよ」

「ゲームを終われないとどうなるんですか」

「ふふふ、夢を追い続ける事になるね。ひとつの夢をかなえてもまた次の夢が現れて」

彼はそう言い終えて姿を消してしまった。

CADのモニター画面に開けた窓には、

どこかの民家の庭先から撮影したと思われる、

夕日の写真が写されていた。

夢を追い続けて、達成したらまた新たな夢が現れて、

それならば彼を倒す必要など無い。

それにそんなのは普通の人達皆そうなんじゃないのかと思う。

しかし、昨日までの自分は自分の夢を追いかけていただろうかと考えてみる。

夢を追い続ける。

当たり前の事だと思っていたのに出来ていない事だった。

彼を倒しさえしなければ、これからは夢を追い続けられるのだろうか。

それにしても、部長は僕達女子社員に対して偏見があるのだと思っていた。

女子社員に商品開発の仕事など出来ないと思っていると思っていたのに、

案外理解者かもしれない。

そんな事は考えたのに、

なぜか不自然すぎるゲームサイトへの疑問は一切抱かなかった。

-END-

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あれ?

登場人物は女の子だったのですね、ずっと男の子だと思っていましたよ。サプライズですか?
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