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「お酒の神様」-5

酒を飲めない人が居る事は理解した。

飲めない人に無理やり飲ますのは良くない事だとも理解した。

しかし、せっかくの宴会の席で酒の飲めない人がいてはその場がしらけてしまう。

酒の神は考えた。

そして、古い酒蔵の酒にもう一工夫する事を考えついた。

翌日から、古い酒蔵の酒には飲めば飲むほど酒好きになり、

酒に弱い人も飲めるようになるという神通力が加わった。

それから暫らく平和な日は過ぎて、

長野屋では開店祝いにもらった酒がそこをつき、今までの味を守る為、

同じ酒を古い酒蔵から仕入れて使い続けることにした。

新たに仕入れた酒には、

今までどおり病気の子供が口にすればたちまち病気が治る力も残っていたが、

酒の弱い人は強くし、さらに酒好きにするという力も込められていた。

数ヵ月後、この街の子供達は酒好きの酒豪ばかりになり、

親達も酒が好きで止められずに、

子供が飲むのを止めるどころか一緒に飲み明かす始末となった。

古い酒蔵の酒が売り切れてしまうと、

他所の町からも大量の酒を仕入れるようになり、

酔っ払いと元気な子供達だけの町になってしまった。

そして、古い酒蔵では、杜氏達もただの酔っ払いで仕事にならず、

新たな酒を作れなくなっていた。

酒の神はやっと自分のおろかさに気付いたが後の祭りで、

酒蔵に酒がなくなると神でもなくなってしまった。

やがて、古い酒蔵は人がいなくなり朽ち果てるのを待つばかりとなった。

酒の神が消え、その力が消えうせると、

町は元に戻り酔っ払いも徐々に減っていった。

そして人々は思った、飲みすぎは良くない。

‐END‐

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