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「視聴率」-11

マサシは不思議に思ったが口には出さなかった。

その疑問を口に出した途端に、それまで優しかった者たちが、

急に鬼のような姿となり鬼のような恐ろしい事を

やり始めるのではないかと心の隅で思っていたからだ。

それからどれぐらいの月日が立っただろう、

ある時マサシは、犯人と再会した。

犯人は、有名人になっていた。

犯人が起こした爆破事件をテレビで見ていた者がその後大勢亡くなって、

中にはテレビ関係者もいて、

犯人のおかげで高視聴率が取れたと喜んで見せたり、

自ら爆破ボタンを押すのは怖くなかったかなどと、質問攻めにしていた。

テレビのワイドショーで高視聴率を取ったから、

犯人は白い者たちの中に居ても特別扱いで忙しく過ごしていた。

「おい犯人、おまえはまだこんな所にいたのか、

とっくに他の者達同様に消えてしまったと思ってたよ」

マサシが、犯人に問いかけると犯人は何のことか分からない様子で

「何言ってるんだ、他の者たちなんて知らないよ、

それに俺はまだここに来てほんの少ししか経っていないから、

ここの事は良く分からないよ」と答えた。

マサシは、黒い者達と共にいろいろな場所を飛び回り、

いろいろなものを見聞きして、

かなりいろいろな事が分かったつもりになっていた。

白い者達に付いて行った人間達は、

退屈な白いふわふわした世界の中で、

やがて自我を失い消え去っていた。

それがなぜかは分からないがそういうものだと言う事は分かっていた。

極たまにマサシのように、黒い者達に付いてくる人間もいた。

黒い者達について来た者は、マサシ同様にいろいろな世界を忙しく飛び回り、

忙しいけれど楽しく幸せを味わってもいた。

だから、黒い者達に付いて行った自分たちが、

別に地獄に落とされたわけでもない事も理解していた。

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