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「ひとがみ」-12

白い光に包まれて周りは真っ白いだけの世界。

それでも足は止まることなく歩き続け、

いったい自分達はどこへ向っているのだろうと、

疑問を持ち始めたとき意識が遠くなり始め、

何も考えられなくなり目も見えなくなり何も感じなくなり自分も消え去り、

気が付くとベッドの上に1人で居た。

誰の手も握っていなかったから、

しまったと思い飛び起きて辺りを見回してしまう。

そして、ただの夢だったのだと気付き、

次の瞬間にはなにが夢なのかも忘れていた。

タケヒコもユウヤもそれぞれのベッドの上で朝を迎えていた。

     ★

次の休日にタケヒコは母に連れられて、

ユウヤの入院している病院にお見舞いに出かけた。

学校では昨日先生が、

明日見舞いに行くから今日中に千羽鶴を完成させようと言い、

一昨日までに折り上げて提出させられていた800羽と、

昨日の休み時間に折らされた200羽の折鶴合わせて1000羽を

持ち帰っている。

病院で先生と鉢合わせするのはいやだと思いながら、

それはそれで面白いかもと思い始めた自分を不思議に思いながら、

なにやらわくわくする気持ちにもなっていた。

千羽鶴を受け取ったユウヤの顔を思い浮かべてのわくわく感、

それとも先生がユウヤの両親にいやな顔をされるかもしれないわくわく感、

どちらもありだと思った。

しかし、期待は直ぐに裏切られた。

ユウヤの病室に到着するとすでに先生は見舞いを終えて帰った後で、

千羽鶴は窓際にひっそりと置かれていた。

 

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