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「ひとがみ」-14

親友の姿を確かめ、願いがかなうと言う言葉を思い出し、

しっかりと手を握る二人。

今度はユウヤも自分が退院できるとかその程度ではなく、

自分の命が掛かっていると感じて、

でも、タケヒコの手のぬくもりに何かの安心感を得る。

白い世界は徐々に色を取り戻し、

気が付くと花の中に埋もれていた。

ここは何処かのバラ園だろうか、

綺麗な花とその香りに心地よさを感じて、

生とか死とかの重い思いを忘れてしまう。

隣を見て、親友のユウヤ・タケヒコそれぞれ姿を確認して、微笑みあう。

何か自分達には悲しみとか別れとかは存在しないような気がしている。

けれども、ひとがみはそんな甘い思いには見向きもしない。

何か怒りに似た感情で二人の少年を見下ろしていた。

ひとがみは分かっていた、そんな甘いものではないことを。

そして、悲しいけれど強く生きる事が大切な事を。

二人が別れ別れになれば願いがかなうと言ったなら、

この少年達はどうするだろう、

もっと困らせたら、なにを求めるだろう。

ひとがみは実は寂しかった。

このままユウヤの命を助けたら、この二人は幸せになりすぎるのではないか。

もっと不幸があって始めて救われるべきではないか。

二人の力が本当でも、果たしてこのまま助けてよいものか、

それが自然の摂理に合うのだろうか。

自分が神であってもここまで迷うのは、

神もただの自然の一部だからだと分かっているからだ。

もし、自分の友をあの日助けていたら自分はどうなっていただろう。

 

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