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「満員電車の攻防」-6

電車は次の駅に到着すると、今度は殆ど乗り降りが無く、

乗降口で数名がうごめいただけだった。

だから、タケルの乗車位置付近では、

少しの人の動きも無いままで終わってしまう。

タケルとしては無理に体の向きを変えていたので、

つり革はしっかり掴んでいるものの足の置き場がかなり狭く、

居心地が悪いため少し動いて欲しかったのだ。

少し窮屈な体制のまま電車のドアは閉まり、

少し荒っぽく発進した電車の大きなゆれを利用して何とか少し足場を確保した。

次の駅までは何事も無く、大して乗り心地は良く無いけれど、

悪すぎる訳でもない状態のまま進む。

次の駅は快速電車も止まる少し大きな駅。

到着するとかなりの人が降りたので、

タケルは当初の目的の車内奥のつり革の掴みやすい位置に乗り込んだ。

大勢降りたからといって座席に座れるほどの事は無い。

座席に座れるのは空いた座席のすぐ近くに立っていた人達だけだ。

それでも、立っている人の中では、まずまずの立ち位置を確保し喜んでいた。

次の瞬間ホームで乗車を待っていた大勢の人達が、我先にと乗り込み始めた。

タケルにとって運が良かったのは、

左右両サイドから同じタイミングで人の波が押し寄せた事だ。

一方だけから大波が押し寄せれば、タケルも波に飲み込まれただろう。

両サイドから押し寄せた波はタケルを挟み込み、

両者の力がぶつかって打ち消された。

タケルは波に翻弄される事なく自分の立ち位置を確保した。

暫らくの沈黙の後、再び大きな圧力が押し寄せる。

乗車して入り口付近の場所を確保しようと頑張っていた人が、

次々に乗り込んでくる人の波に負けて、車内奥に押され始めたのだ。

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