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「満員電車の攻防」-9

電車が停車しドアが開くとタケルの代わりに立ちあがった男は、

「おりまーす」と二度繰り返して、

無理やり人を押しのけるが、

なかなか出口に近づけない。

出口付近の人達が、かなり降りなければ無理だから、

男はもう一度大きな声で「おりまーす」と叫ぶ。

仕方なくという感じに出口付近の人が動き、

一旦下車する事で出口までの道が開け、

男とそれ以外にも数人が何とか下車して行く。

タケルは男が無事下車した事で自分の役目が終わったのだとホッとした。

別にタケルが何かしたわけでも、

男を無事に下車させる事に対して、

何か責任があったわけでも無いけれど、

なぜかホッとした。

そして、たぶんホッとした事が良くなかったのだろう。

さらに、朝少し早く目を覚まし、

いつもより急いで準備して、

急いで電車に乗った事も関係しているのだろう。

電車が再びドアを閉めて走り出した時、

タケルは睡魔に襲われてしまう。

タケルを襲った睡魔は、強豪だった。

並大抵の努力では押し返す事が出来ない強い睡魔だった。

だいたい睡魔と言うものは、

弱いものでも人の手におえない事があるくらいだから、

強豪の睡魔となると、タケルごときの手に負える相手ではなかった。

タケルが動き出した電車の揺れに身を任すのに一分とかからなかった。

直ぐにうつらうつらから深い眠りへと向かって行き、

隣に座る人の肩にもたれても平気になってしまう。

勿論、もたれかかられた方は、

生暖かいタケルの頭を肩に感じるのは嫌だから、

肩をゆすって何とかしようとするが、

電車のゆれでタケルの頭が反対側に動き、

再びの揺れに戻って来るの繰り返しに、

イライラを募らせるだけだった。

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猛暑見舞い申し上げます

いつもお越し下さいましてありがとうございます。
今日から9月ですね。
毎日暑い日が続いておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
これから先もとうぶん猛暑が続くようです。
どうかくれぐれもお体ご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
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