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「ハッピー・バースデー」-4

「もちろん100歳になったんですからめでたいですよ」

「誕生日はおめでたいものでしょう」

「100歳と言うのは長寿ですから、とてもめでたいです」

「100歳と言う節目の誕生日ですものね」

老人は口々にいわれる言葉にだんだんと怒りをあらわにする。

「100歳だからめでたいのか、

誕生日だからめでたいのか、

ちっとも理由になっとらん」

ひ孫の少女が小声で言った

「おじいちゃんが生まれた日だからおめでたいのでしょう」

大人達は、これが答えだと思い、

少女を褒めようとした。

「何言っとる、声が小さい、聞こえん」

とまだ怒り続ける老人に、

「この子はおじいさんが産まれた日だからおめでたいと言ったんですよ」

と説明する。

「馬鹿もん、ちゃんと聞こえとる。

声が小さい事を叱ったんだ」

と怒る老人。

とても、死に掛けていたと思えない元気な口調に、

みんな気を使って3日も前から徐々に慣らしたりして

馬鹿なことをしたものだと思った。

「爺さんが死ぬ日にまた一日近づいたのがめでたいんだろう」

と隅の方で斜に構えていた男が言ったが老人にしか聞こえなかった。

老人は、

「その通り」

と静かに言い、急に元気を失った。

さっきまでの元気は、

命の炎が燃え尽きる直前の輝きだった様だ。

しかし、男の言葉が聞こえなかったから、

みんな何がその通りなのかと老人に問う。

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