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「何でも作れる」-12

「実際そんな恐ろしい殺人兵器は可能なのですか」

と田中研究員。

「可能だ、確かに恐ろしい兵器だが、

その場で殺していないというのもまた恐ろしい所だ」

と私が認めると、高橋主任研究員が

「いや実際開発されても、こんな非人道的な兵器は使用禁止になるでしょう」

と反論する。

「いやいや恐怖の兵器だからこそ禁止されても開発されて、

大国の政治家ほど欲しがるでしょう。

核兵器がそうだったように」

皆口々に兵器の恐ろしさを指摘し、

こんな兵器は開発させてはならないと言った。

「だからこそ、この兵器を無力化する何かを我々で開発する必要がある」

と私は言い、

「五十嵐さん、何か有効な対応策はありそうですか」

と兵器のアイデアを考えた本人に問い掛けた。

「はい、対抗策は繊維をもう一度やわらかい状態に戻す事です」

     ★

会議の結果決まった事は、

特殊な電磁波を照射して強靭な状態となった繊維を、

電磁波を照射する前のやわらかい繊維に戻す方法を研究するという目標だ。

秘密組織として研究する事が決まり、

その研究には何の役にも立たない私は、

当然お払い箱になるのだろうと思った。

会議の後、私の部屋から立ち去る時に谷原所長は

「これからもよろしく頼むよ」

とにっこりと微笑んでくれた。

どういう意味かと尋ねようとしたが、

すっと背中を見せて立ち去られてしまい、何も尋ねる事が出来なかった。

悪の政治家達が考えだすだろう兵器を、予測するのが仕事だったから、

繊維をやわらかくする方法が見つかれば、

もう私に用は無いはずだと思ったのに、

私は何をよろしくお願いされたのだろうと、

暫らくその場で考えた。

繊維を使った兵器に対抗する手段として、

繊維を強靭なものではなくすという事が出来てしまえば、

どんな兵器であっても対抗できるだろう。

つまりこれ以上新たな兵器を予測する必要など無いはずだ。

私は、暫らくのんびりと、この研究所での生活を楽しむ事にした。

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