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「恐竜君の人生」-1 

大昔、僕は小さな海の生き物だった。
 
その頃の海は綺麗で澄み渡っていて、

上を向くと太陽の陽射しがキラキラと輝いていた。

けれども弱肉強食の世界だから、

鎧のような骨格に覆われた、大きな魚達が幅を利かせていて、

僕ら小さな生き物は肩身の狭い思いをしていた。

どこかに安心して暮らせる場所はないだろうかと探し回った。

小さな生き物だから探し回ると言っても波にもまれて漂うだけの事。

それでも大きな魚達のいない、大きな川の河口付近にたどり着いた。

河口には川からミネラルの少ない、

長く浸っていると体が溶けてしまいそうな水が流れ込んでいた。

その水は淡水と言うらしいが、僕ら海の生き物は淡水の中では生きられない。

大きな海の魚達も同じで、淡水の中では生きられないから、河口付近を避けている。

大きな魚にいじめられなくなったけど、

河口付近に居るとやはり苦しくてたまらない。

だから毎日願っていた。

今度生まれ変わる時は、淡水の中でも生きられる生き物になりたいと願っていた。

ある日、雨が降り続き洪水が起こったみたいで、

河口付近に大量の淡水が流れ込んできた。

僕は必死に逃げたけど、

逃げ切れなくて淡水の中で病気になって意識がなくなった。

気が付くと、川の中で泳ぎ回る生き物になっていた。

願いが叶って、淡水の中でも生きられる生き物に生まれ変われたと喜んだ。

だけど、喜んでいたのも最初だけ、

そのうちに海にしか居なかった大きな魚たちが、川にまで入り込んできた。

奴らもそれなりに進化したのだろう。

 

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