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「幸運」-7

全員を眠らせてから私が安全な場所まで避難するのに十分と言う時間は充分過ぎるだろう。

たぶん、攻撃時刻に誤差が生じた場合を考えて、

十分前を指定したのかもしれない。

 十一時四十五分。

私はゆっくりと施設の玄関ホールへ近づいた。

すでに式場へみんな移動している様で、

玄関ホールには受付の数人だけがたむろしている。

 受付の人だまりに静かに近づきながら、意識を集中する。

私が人を眠らせる方法は、一種の超能力だ。

だからはっきりとした理屈は分からない。

私自身の仮設としては、

私の発する特殊な脳波が他人の脳に影響し麻痺させて眠らせてしまうのだろうと考えている。

 受付を通り過ぎると、たむろしていた人達は、

ゆっくりと跪きそのまま横になって眠り始める。

私はそのまま式場へと進み、式場の扉を開けながら意識を集中した。

 ちょっとした段差だった。

入り口の扉を開けたその場所にちょっとした段差が有った。

中の人間を眠らせる事に意識を集中していた私はぶざまにすっころんでしまった。

 起き上がろうとするが打ち所が悪く膝を動かす事が出来ない。

ぐずぐずしていれば、空爆の餌食になってしまう。

私はまずは皆を眠らせてしまおうと考えたが、

痛みの為に上手く意識を集中できなかった。

こうなると一刻も早くこの場を離れるしかないのだが、

自力では本当にゆっくりとしか動く事が出来ない。

 周りの人が私の苦しそうな動きに気付いて、

一人が手を貸してくれて私を立ち上がらせてくれて、

尚且つ近くの椅子に座らせようとする。

「いや、済みませんが外に連れ出してくれませんか、

膝の骨を折っているかもしれません、病院に行きたいので」

 

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