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「ごめん」-1  

「ごめん、自殺しちゃった」

彼女はそう言って私の部屋から立ち去った。

私は、私の身体を見下ろしたまま呆然と立ち尽くす。

 彼女と出会えた事は、ラッキーな事だと思っていた。

ちょっとしたいじめに遭っていた私は、仕事に行くのが嫌になっていた。

だから、自殺の理由は有るといえば有る事になるのだが、

それでも私のままだったら自殺はしなかっただろう。

 彼女と出会い、彼女が代わりに会社に行ってくれると言い、

いじめなんか無くしてやるよと言ったときには頼もしいと思った。

 彼女の事を怪しい人物とは、まったく思わなかった。

むしろ、とても親しみの持てる人物だった。

だから、彼女からの申し出をすんなりと受け入れてしまった。

彼女の姿が私とそっくりだったから、

そのままの彼女が私の名前を名乗り、

私に成りすまして会社に行くのだと思った。

だから、「出来るのならばやってみて」と軽く頼んでしまった。

 彼女は、「それでは、身体を借りますね」と言い私の中に入り込み、

私を眠らせてしまった。

残念ながら眠っている間の事はまったく分からない。

 そして、目覚めてみると目の前に私の死体が倒れていた。

どんな方法で死んだのかも良く分からない。

彼女は何も告げずだだ「ごめん」とあやまって、

私が何か問い掛ける前にどこかに行ってしまった。

よく分からないけれど私は自分の体から抜け出した魂だけの存在になったのだろう。

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