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「散歩の神様Ⅶ」-3

 実家に到着して、娘を母に預け人心地ついたところで、

電車内でカバンの中に放り込んだ手紙が気になって、

取り出してじっくりと眺めてみた。

 やはり差出人の名前も住所も書かれていない。

封を開ければ差出人が分かるかもしれないが、

他人の手紙を勝手に開けるわけにも行かない。

だとしたら、方法はひとつあて先に持っていくしかない。

幸い宛先の神社は、この家から近いから、

後で散歩がてら届けに行く事にした。

     ★

 ママは私の事をどう思っているのだろう。

私はママが嫌いではない。

でもお婆ちゃんの方が優しいし、

変な人を家に入れたりしないから好きだ。

 今日も突然おばあちゃんの家に行こうと言われて、

嬉しかったけど、あまり嬉しそうにすると、

ママは悲しい顔をするから、

喜び過ぎない様にがんばった。

 うちに居候しているおじさんは、

私だけ預けて直ぐに戻って来いってママに言ったけど、

ママはどうするつもりだろう。

 もう、あのおじさんのいる家には戻らなければ良いのにと思う。

 ママとお婆ちゃんと私の三人だけで居られれば良いのに。

たぶん駄目なのだろう。

     ★

 俺の彼女には、娘がいる。

けれど俺の娘ではない。

彼女と同棲を始めてもうずいぶん長いが、

最近彼女は娘の事ばかりで、俺を無視する様になってきた。

 始めの頃は、逆に俺と過ごす時間を増やす為に、

娘を実家に預けたりしていたのに、

最近は娘といる方が楽しいらしくて、

俺を邪魔者扱いする傾向がある。

だから俺も、どうでも良いと思いながら、

わざと彼女と娘の邪魔をしたりする。

本当はもう別れても良いと思っているけれど、

わざと別れたくない振りをしてみせる。

大人気ない嫌がらせだ。

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