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「さまようコンビニⅡ」-3

 ドアが開くと店内にピポピポと電子音が響き、

反射的に店員が「いらっしゃいませ」と声を出す。

店の奥にいた店員ははっきりと「いらっしゃいませ」を言ったのに、

レジ内にいて入り口を見ていた私をさげすんだ店員は、

開きかけた口を閉じて迷惑そうな顔のまま何も言わずに立っていた。

 私はそんな店員を無視して店内奥へと入り商品の物色を始めた。

雑誌類には手をつけない。

立ち読みをしても良いのだが雑誌そのものにあまり興味が無い。

奥のガラス扉の冷蔵ショーケースの前まで行き、

中の缶ジュースやペットボトルを眺めながらゆっくりと歩く。

時々振り返り、レジの店員の様子を伺う。

 パンや弁当の売り場まで来たとき、何となく違和感を感じた。

ついさっきまで店内にあった人の気配がなくなっている。

レジのほうに目を向けると店員の姿がなくなっていた。

気味が悪くなりながらも、買う予定だったアンパンと、

予定に無かった缶コーヒーを手にして店の出入り口に向った。

 出入り口のガラスのドアから見た外の景色に、

何となく懐かしさを感じた。

半年前まで毎日通った建物が目の前にある。

私を半年前に首にした会社だ。

 私は、缶コーヒーとアンパンを上着のポケットの中に押し込んで、

出入り口のまん前に進む。

自動ドアは私を一人前の人間と認識してくれて、

ピポピポと電子音を鳴らしながら左右に開いて行く。

外に出て一歩ずつ会社の建物へと近付いて行く。

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