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「幸運Ⅱ」-8

 社交辞令的な挨拶の後、飲み物とつまみをそれぞれ注文した。

飲み物が届くと一応乾杯して、

酔いがまわるまでは当たり障りの無い世間話をぽつぽつと話す。

 適度に酔いがまわって、

相手も気が大きくなっただろうというところで、

俺は今井を仕事に誘ってみた。

仕事に誘うといっても俺の所属する秘密組織に誘ったわけではない。

「今井さん、貴方とはとても気が会う気がするんです。

今の会社を辞めて俺と何か事業を起こしませんか」

俺は、今井の幸運を信じたから、

彼と事業を起こせば大成功はしなくても絶対に失敗はしないだろうと思ったのだ。

「五十嵐さん、私もねえそろそろ今の会社を辞めて何か始めたいと思っていたんですよ」

「ならばぜひ、俺と組んで下さい」

「ええ、良いですが、何か特技はありますか」

 そう問われて俺はつい「人を眠らせることです」と答えていた。

たぶん酔いがまわって判断力がだいぶん鈍っていたのだと思うが、

今井は私に都合よく解釈してくれた。

「そうですか、催眠術が出来るのですか。

実は私も”癒し”関係の仕事に興味がありまして、

催眠セラピストなんかも勉強した事が有るんですよ」

 なんと、人を眠らせる事が直接仕事になるとは考えてもみない事だった。

さすが幸運の男だと感心しながら、

話はその後とんとん拍子で進められ、

資金力の無かった俺は技術力を投資するという事で一応役員のひとりとなり、

今井が殆どの資金を出したので社長となって会社を設立した。

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