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「幸運Ⅱ」-15

 末端の組織の構成員には、

戦争反対を掲げさせ反戦のためには革命が必要だと煽り、

世界を良くするための犠牲だと信じさせてさまざまな戦争の火種をばら撒かせていた。

 やはり組織は悪の組織だったのだと知り、

壊滅させる事こそが俺の使命だと確信した。

ところが今井はそうは考えなかった。

今井の意見では、戦争や扮装の原因は経済的な困窮が一番だと言う。

 大昔から、食料が満ち足りていれば人は特別に争う事はしない。

食料が不足するから生きるために仕方なく殺し合う。

現代でも同じ事で、

今は経済が発達し食料と言う事ではあまり争わなくなったかもしれないが、

経済の困窮と言う事では大いに争う事になる。

燃え上がる元となる困窮は、

いまだに上手く解決する方法を見出される事が無くて、

好景気と不況とを繰り返す。

 経済的な困窮と言う火薬は、

そのままにしておくとやがて大爆発を起こして大戦争につながる。

だから、少し溜まったら直ぐに火をつけて小さく燃やして小さく終わらせる必要がある。

そんな考え方も出来るだろうから、

組織が行っていた事は大戦争を回避する為の計略なのかもしれないと言う。

 俺はいまいち納得できないが、

組織の最高幹部のパソコンに仕掛けた偽情報がきっと組織を壊すだろうから、

俺としてはもうそれで満足する事にした。

組織に残っていた俺に関する情報も消したから、

組織から俺にコンタクトを取ってくる事ももう無いはずだ。

 今井孝彦が本当に幸運な男なら、

彼の力で扮装や戦争の元となる困窮をこの世から消し去ってもらいたいものだと思う。

だが、彼は笑って答える。

「不運な人がいるからこその幸運だから仕方が無いですよ」

―END―

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