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「広い家に住む為に」-6

 私は少し驚いた。

会社との間に雇用契約なんてものが有った事や、

会社を辞めるだけで色々と手続きが必要なのだという事を、

まったく知らなかったからだ。

もしかしたら、私が早く会社から立ち去りたいのを知っていて、

それでも尚嫌がらせの為にいじめているのだろうか。

 私は素直に「はい、すみませんでした」と言って、自分の席に戻った。

自分の席で、どうしたものかとぼーっとしていると、

「おい、今日の仕事はどうした。じっと座っているのが仕事じゃあないだろう。

さっさと外に出て草むしりをして来い」と怒鳴られた。

「いえ、工場長から席で待っている様に言われましたので」と言い訳すると

「工場長は君の直接の上司じゃあないだろう。上司は私だ。

工場長が用事なら私が聞いておいてやる。

話を聞いて必要なら呼びに言ってやるから、

お前はさっさと外に行って自分の仕事をやれ」

「はい、わかりました」

私は仕方なく外に出て、昨日の続きの草むしりをぼちぼちと始めた。

夕方になってやっと工場長から呼び出しがあり、

幾種類もの書類を渡され、いくつかの書類について書き方に注文を受けた。

「良いか、直ぐにやめたいというなら、素直に私が言うとおりに記入するんだぞ」

「はい」

「退職理由は何箇所か記入欄があるが、なにかはっきりした理由はあるのか」

「はあ、その仕事がいやになったって事で、後は人間関係とか」

「うん、それで」

「いえその、だから、転職したいと思いまして」

「うん、で、転職先は決まっているのかね」

「いえ、まだ何も決まっていません」

「うーん。分かった。ではここは、自己都合と書きなさい」

「はい」

 こんなやり取りで、いくつかの書類を言われるがままに記入し、

退職の手続きは完了した。

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