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「広い家に住む為に」-20

 頭の中が少し現実を見るようになった。

今の状況を馬鹿にされるのは当たり前だと思えば精神的な負荷は和らいだ気がする。

 見返してやろうとか、本当ならこんなじゃないとか、

変な見栄の気持ちが、自分の心を痛めつけていたのだろう。

少し素直に自分の立場を認められれば楽になれる事だった。

精神的な反発がなくなると、職安での職員の対応も良くなったように感じ始めた。

自分も本気で働く気になっていたからかもしれない。

 宝くじが当たっていない事が確定してから一・二週間経って、

翌月分の生活保護費を受け取った翌日、ついに新しい仕事が見つかった。

 不況で失業率の高い時代だから、

人が嫌がるキツイ汚い肉体労働しか無いだろうとあきらめつつも、

体力に自信の無い私は、軽微な肉体労働か、事務系の仕事を希望していた。

 過去に勤めていた工場では、

事務仕事など殆どやらせてもらっていなかったのだけれど、

退職する一年前くらいから、嫌がらせで事務所の机に座らされるようになり、

無理やり事務仕事も押し付けられたから、

多少仕事を覚えたし、履歴書に事務経験ありと書くことが出来た。

そして、私に都合がいい事に、大して専門知識の必要ない、

雑用事務の仕事の募集があり、

その他の条件も当てはまり面接を受ける事になった。

 会社の事務所か、どこかの部屋を借りて面接を行なうのかと思っていたら、

職安のロビーの椅子に座って待っていた私の横に、人事担当者が座り面接が始まった。

「我社の業務内容とかは、もう聞いてもらっているかな。

こちらはあなたに付いて一通りの資料をもらっているけどね」

「はい、一応資料は見させて頂きました」

私はベンチの上で姿勢を正して答えた。

「それじゃあ、給料が安い事とか、

仕事は単純で退屈なものだって事も分かってもらっているね」

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