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「広い家に住む為に」-34

 私は何がなんだか良く分からなかったが、

確かに豪邸に住むようになったのだから、

夢は実現したのだろうと思い「はい」と答えた。

「ふむ。しかし、ずるをしただろう」

「えっ、ずるですか」

「そうだ、金を得る為に、働かないで盗んだだろう」

「いえ、ちゃんと働いて、頑張って、認められて、それで豪邸を相続したんです。

悪い事なんて」

「黙りなさい。ホームレスの老人の財布から、金を盗んだだろう」

 確かに大昔、死を覚悟していた時、死に物狂いでお金を盗んだ事がある。

しかし、僅か二千円だけだ、それに豪邸を手に入れたこととは殆ど関係ないはずだ。

「覚えていないとは言わせんぞ、正直に言え」

「確かに大昔一度そんなことがありましたよ、

でも今豪邸を手に入れたのはそんな事によるわけでも何でもありませんよ、

今更なんなのですか」

「認めたな、盗んだ事を」

「ええ、それは認めます。

謝罪しろというのでしたら謝ります。申し訳ありませんでした」

「いや、謝罪などどうでも良い。

ただ、ルール違反なんだよ金を盗むのは、だから、一からやり直してもらう」

「いやそんな一からやり直しだなんて」

「大丈夫だ、ルールでちゃんと昔の元の状態に戻してからやり直すから、

今のように年をとった状態からのやり直しでは無いからな」

 そういうと男は姿を消した。

そして、私は縁側で足を滑らせて転げ落ちてしまった。

気が付くと、私は二十六歳の頃の姿となって、土手の下に転がっていた。

 その場所は、二十年前死ぬ場所を求めてうろついて、

足を滑らせて落ちた場所だった。

 若い頃に戻ってのやり直し、場合によっては魅力的な事だろう。

 やり直して夢をつかむ自信もある。

だが、それでも私はやり直しなど嫌だ。

‐END‐

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